「ついに実現した世界タイトルマッチ。葉山マコへの想いを胸に秘めて、自らの手で降りかかる雨との訣別をサブは果たせるのか!?」
●未収録エピソード13〜15話(最終回)分


食肉倉庫を舞台に、マコの復讐が始まった!

●冷凍の食肉倉庫で、マコの報復は繰り広げられた。全裸で吊るされたスケバン達の懇願にも耳を貸さずに彼女のムチは飛ぶあ!●その後、倉庫にスケバンを残しアパートへ帰ったマコ。「ただ一人 あたしを対等に扱い 一緒に悲しんでくれた志波三郎に…鬼のような悪女と思われたくない」思い直して警察に救助の連絡を入れた事で、彼女は逮捕されてしまう。●翌日、サブの元にビッグニュースが飛び込む。先の試合で世界2位のクルスが網膜剥離を起こした為に、3位のサブが世界タイトルマッチの挑戦資格を得た。だが彼は女子少年院へ送られたマコへの想いを認め、彼女との生活に埋もれたいと願う。●面会に出向いたサブだったが、教官を通してハッキリ拒否されてしまう。「同情いたわりはまっぴらだ」彼女からの伝言に自分の思い上がった気持ちを打ちのめされたサブは、王者キッド・サンシャインとの世界タイトルマッチに挑む決意をする!「鉄格子の中で突っ張れりゃ本物よッ みごと世界チャンピオンにのし上がって満足させてやるぜ 可愛いバカな女よ!」サブの瞳は燃えあがる!

●元不良少年で、勝率100%・KO率80%の世界フェザー級チャンピオン、キッド・サンシャイン。彼との世界戦の日は迫る。「フフッ…女子少年院にいるマコのため 少年院出身のおっそろしい天才チャンピオンに体当たり…か」●高額なファイト・マネーを使い、住み慣れた安アパートから麻布の高級マンションへ引っ越しを決行。惨敗すれば多額のローンを背負うという背水の陣の覚悟なのだ。彼の心意気に感じて大変な役目の保証人を引き受ける会長。「世に師弟愛なんて やたら美談にしたがるが ハッパかけたり シゴキはやれても なかなかこれはやれないぜ」何としても勝ちたい!サブは新たな決意に燃えるのだった。●数日後、キッド・サンシャインが来日。スパーリングではパートナーを2名も壊し、その強さをアピール。一方サブもマコの兄を殺したショックか完全に立ち直り、強打を復活させて絶好調!●日本武道館で行われる世紀の決戦当夜。マコは女子少年院の娯楽室で他の院生と共に実況中継を見ていた。サブが彼女の為に戦おうとしているのを知ることもなく…。試合開始のゴングは刻一刻と近付いていく。


世界フェザー級の王者、キッド・サンシャイン来日!


ケンカ屋サブと、世界王者の死闘の結末は…。

「サブが…いつも青春の なみだ雨にぬれながら七転び八起きした若い獣が…はれがましくも国歌を吹奏されて戦うヒーローにのし上がった!」リングに立つサブの勇姿を見つめてインテリは感慨深い。●1R。果敢なラッシュ戦法で先手を取るサブだが、次のラウンドでスグに巻き返されてしまう。相手の実力を理解しながらも勝負を捨てず、葉山マコの為に一世一代のファイトを繰り広げる。彼女の存在がサブに実力以上のパワーを与えているのだ!●得意のクロス・カウンターでダウンを奪うもラウンドが進むにつれて、両者の実力差は次第に広がっていく…。乱打を浴びてグロッキー状態で8Rを逃げ切ったが、サブはもはや気力しか残っていない。●9R1分27秒。試合はサブの将来を案じた会長の投げたタオルで幕を閉じた。TKOによりチャンピオンのタイトル防衛だ。●「必死の努力かならずしも実らず…深い愛かならずしも奇跡のロマンを生まぬ現実…それが青春…それが人生…」試合に敗れるも全力で戦い抜いた友へ言葉を贈るインテリ。●その後、志波三郎は約5年に渡って第一線で活躍。引退後は葉山マコと結婚して、自動車のセールスマンとして働いている。彼はもう朝のめざめで心に雨の音を聞くことのない日々を送っている…【完】

●いかがでしたでしょうか?
主人公がボクシングばかりでなく、愛に悩み人生に苦しむというストーリーには賛否両論ある(梶原ファンには否の方が多いとは思うが)と思いますが、「あしたのジョー」が連載されていた70年初期の頃とは違って80年初期の頃には“ボクシング=ハングリースポーツ”とか“スポーツマン=ストイック”いう図式だけではリアルさに欠け、作品として成立しえなかったのではないでしょうか。

●とはいえ、残念なのは初期のライバル・赤尾研二のような描き込んだキャラクターが後半にはなくなり、対戦相手が単なる登場人物の一人でしかなくなってしまったこと。手に汗にぎる対決シーンが見たかった。特に世界タイトルマッチが連載1回分で終わるのは勿体無いよなぁ。
(2003.8.20)


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