「するとなぜだかおれも泣けてきた…そしてこの時からおれ一条直也の人生はガラリ180度変わったのだ…」

FILE#30「柔道一直線」(画:永島 慎二・斎藤 ゆずる)



刊少年キング連載/1967年23号〜1968年22号(九州編)
          1968年42号〜1970年47号(東京編)
          ◎1971年4/5号
          (外伝1・鬼車青春双六)※単行本未収録
          ◎1971年14/15〜16号
          (外伝2・鬼車の子守り歌)※単行本未収録
          ◎1971年18号
          (外伝3・大完結編) 
           ※宝島社「いきなり最終回Part2」に収録

●あらすじ:
九州は小倉の町道場で柔道を学ぶ中学生・一条直也は、東京オリンピック(昭和39年)の柔道無差別級決勝戦で、日本がオランダのヘーシンクに敗れたショックから、日本柔道再興を自ら果たすため、元講道館の鬼車と呼ばれた車周作の下に弟子入りする。実践柔道を唱える周作のシゴキは激しかったが、それをこなす事で技は磨かれていった。北九州大会に出場した直也は、天才児赤月旭を倒すために「二段投げ」を編み出し、個人戦優勝を果たす。中学卒業後、周作と共に上京し、名門天道高校に入学する。柔道部主将・大豪寺虎男や同級生となった赤月旭と全国柔道選手権大会に出場、直也は引き分け優勝となる。周作は直也に「野性」の必要を感じ、師弟の関係を断つ事を宣言。絶望のドン底の中で高校を辞めて用心棒にまで身を落してしまう。だが同じ境遇の刺客との対決で再び柔の道に目覚め、見知らぬ高校へ再入学し、一人で猛特訓を始めた。周作の狙い通り「野性」を身に付けた事を喜ぶ一方でインターナショナル青少年柔道大会の準決勝で、優勝候補のゴードンに必殺技「地獄車」破りの策を授けた。それを知った直也は復讐の怒りに燃える。しかし柔の道を悟った直也は必殺技に頼らない試合の流れに沿った一本背負いでゴードンを倒し優勝を手にする。数日後、パリの大会で活躍を続ける直也の姿を場末の酒場のTVで観ていた周作は突然発作を起こし、そのまま死んでしまう。テーブルに酒で書かれた“一直線”の文字を残して…。

●BONはこう読む!:
スポ根ブームの最中の作品ではあるが不思議と汗だ涙だ友情だといった部分の魅力を強く感じる事ができなかった。水準点は達していると思うが、いかんせんキャラクターが弱く、誰にも感情移入して読めない事も原因だろう。後に多くの評論家が指摘している事だが、漫画家との作家性の食い違いが作品の質を落とす結果となったらしい。


●単行本:
少年画報社刊/キングコミックス全13巻
講談社刊/KCスペシャル全8集
サンケイ出版刊/梶原一騎傑作全集全10巻
光文社刊/光文社漫画文庫全7巻 ※抜けエピソード有り

●その他:
※1969.7号〜11号まで向後つぐお氏が執筆
※1970年15号より斎藤ゆずるに変更
TV化(実写)1969.6.22〜1971.4.4 全92回
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