「殺された義父・政五郎の仇、黒崎組の組長への報復を図った真理。しかし予期せぬ掃除婦の出現によって、 逆に敵の手に落ちてしまう。襲いかかるムチの嵐!そして物語は最悪の事態を生んで幕を閉じる。『太陽の恋人』編ついに完結!」
●「太陽の恋人」あらすじ・その4
1971.49号〜53号迄


●ナイトクラブ「魔王」の地下室に捕われた真理に対する、組員達のリンチは続く。両手を天井から吊るされ背中をムチ打たれるも、音を上げない真理に苛立つ組長の黒崎。彼にとって、ダイナマイトの脅しに一時は屈服し土下座までした事実が、真理への憎悪を募らせているのだった。「世の中そんなきれいごとじゃねぇ もっとみにくいものだってことをおまえに思いしらさにゃ気がすまねえ!」●やがて彼の指示により組員が年老いた掃除婦を地下室へ連れて来ると、釈放を条件に掃除婦とのリンチ交代を提案する。しかし、その悪魔の誘いをキッパリ断わる真理は、いぶかる黒崎に呟く。「きどってなどいません…わたしはよくよく骨のズイからそういう生まれつきなんです。むしろ自分でも困ってしまうほど…」再びムチ打たれる真理。セーラー服の背中部分が千切れ、露になった素肌に血が滲む。●一方、嵐の中ナイトクラブ「魔王」に向かう一台のタクシーに征二と彼の父の姿があった。真理が乗ったタクシーの運転手がクラブまで向かった事を突き止めたのだ。祈る気持ちでクラブ到着を待つ征二の胸に、どす黒い不安が渦巻く。
苦境に立たされても尚、相手をいたわる真理の言葉に掃除婦はただ手を合わせるばかりだった。

悪夢のピリオドは、朱紋組の元組員と黒崎組との一大抗争によって打たれた。

●「魔王」に到着した征二たちが、店に入ろうとした時。一台のトラックが停車し、中から元・朱紋組の組員が次々と飛び出した。彼らはこの台風に乗じて組長暗殺の首謀者・黒崎を抹殺する計画を立てていたのだ。やがて地下室までたどり着いた征二や元・組員達が見たのは、無惨に痛め付けられた真理の姿だった。彼らに登場に驚き、最も恐れていた事態を恐れる真理は必死で訴える。「やめて!!手出しをしないで… おねがい! ここで殺人や傷害をおかしてしまったら せっかく組を解散し まともな道をあゆみはじめたのが 水のあわ…」しかし、元・組員達の怒りは収まらず黒崎組組員へ白刃は振われた!●両者入り乱れての血なまぐさい抗争劇に、制止を促す真理の声をかき消されてしまう。宿敵・黒崎を捕らえた元・組員の1人が黒崎の喉元を斬り付けた。血飛沫をあげ息絶える黒崎。やがて警察が駆け付けると元・組員達は素直に逮捕に応じる。●翌朝、事情聴衆から解放された真理を慰める征二。しかし、この事件で刑務所に入った元・組員の親兄弟や家族に対する償いの人生を背負う事を決めた真理は征二が目を離したスキに姿をくらましてしまった!

●事件から1週間後。ホームルームで担任の不破の口から、真理の退学届けが送られ、それが受理されたことを告げられた。添えられていた手紙にあった「不破先生 クラスのみなさん 長いあいだおせわになりました。でもこれっきり わたしという生徒がいたっことをわすれてください」というメッセージに、馬場や芳村をはじめクラス全員が涙する。しかし、征二のみが真理との別れを認めず涙をこらえていた。●放課後、落ち込んで帰宅した征二のもとへ真理から小包が届く。その中には、事件の時、破れた制服の上から羽織ってあげた征二の学生服の上着と「ありがとう。サヨナラ… 坂本さま 天地真理」と書かれた手紙が入っていた。●翌日から、生活に張りを失った征二は、家でも学校でも冴えない日々を送る。ある日、同じく落ち込む馬場や芳村と相談の末、真理を探す事を決心する。だが、肝心の手がかりを心配する馬場に征二はつぶやく。「なくもない…たった一つ手がかりらしいものが…」。


自らの行いを悔い、真理が高校を退学した。

真理の行方を探す征二ら3人の後をつける謎の男の正体は?

●征二の言う手がかりとは、例の事件で逮捕された元・組員の親兄弟や家族へ、真理が何かしらの接触を取るであろうという事。さっそく行動を開始する3人。その背後にサングラスに白マスクの謎の男の姿があった。●まず始めに黒崎に手を下した組長の右腕だった男の家を訪ねる。予想通り、真理から神戸の消印で送金があった事や彼女の行方を追う謎の人物の存在を掴む。●その後3日かけて各家族を訪問した結果、全ての家庭に神戸消印の送金と謎の追跡者の存在があげられた。何故神戸に?追跡者の正体は?謎は深まるばかりだった。消印だけでは探す事も出来ず公園で途方に暮れる3人。遠い神戸の街で、家族の為に骨身を削って働く真理に思いを馳せる。その時!ブランコに乗っていた征二が、近くに人の気配を感じた!「おれは直感した ナゾの追跡者だ!!」

●気配の方向へ突如襲いかかった征二の奇襲に驚いた謎の追跡者は、捕らえられ殴られる。だが、あっさり征二を投げ飛ばすと、取り出したナイフを馬場に向かって投げ付けた!しかし、威嚇の目的で彼のベルトのバックルに命中させた奇跡のようなコントロールに驚く3人。なおも襲いかかろうとする征二だが、ナイフで眉間を切られ出血により両目を塞がれ身動きがとれない。謎の追跡者は、神戸に向かう事を告げるとその場を立ち去った。真理にもあの恐ろしいナイフの刃が向けられるのか!?●謎の追跡者の登場は、征二の真理への思慕を一層強いものにした。二学期の終業式を数日後に控えたある晩。彼は家出を決行する。「真理にあいたい!」ただその一念で、あてもない神戸への旅に出た征二。車内の窓から何も見えない闇を見つめながら、自らの行動を振り返る征二。「愛するとはなにか… 『愛するヒトのために死ねるか!?』 この質問にイエスと答えられてこそ まことの愛だとおれは信ずる いまは信念に徹してみよう! あした…あしたの真理とおれのために」そう呟く征二を乗せ、新幹線は夜の闇の中を神戸に向かって走っていった…。【完】2001.9.19(wed)
(第3部/夕日の恋人に続く)

ナイフの刃にも恐れぬ征二の真理への思いは深い。
いかがでしたか?単行本の続きのバレーボール編から、軽井沢でのエピソード。青天の霹靂ともいえる義父・政五郎の死によって ひき起された悪夢の抗争劇、 そして真理の失踪…。前半と後半で作品のカラーがガラっと変わり、何処かダークな印象を残した本作は、 タイトルの変更に伴い作品のテーマを見失った梶原氏の迷い(暴走?)が伺える…そんな内容でした。

 



 

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