「そうだ!!ちょうど夜明けの精か のぼりゆく朝日の化身のように あのすばらしい少女は…青春の夜明けをむかえたおれたちの ゆくてに出現したのだ!!」

FILE#63「朝日の恋人」(画:かざま 鋭二)



週刊少年チャンピオン連載/1970.14号〜1971.21号迄
(1971.24号〜「太陽の恋人」。1972.5号〜「夕日の恋人」に改題)

●あらすじ:
都立港高校の1年生として、青春の入り口に立った坂本征二の前に現われた美少女・天地真理。ホーム下に転落した見知らぬ子供の命を、身を投げ出して救い何の見返りを求めない無償の愛の精神を持ち、スポーツも万能である彼女は、征二だけではなく学校中の男性達を魅了した。実は真理の行為には理由があった。彼女は関東一帯に二千人の子分をほこる大暴力団・朱紋組の組長の娘であり、そのことを自らの十字架として背負うが故の行為だったのだ。ある日、その抗争の犠牲となり征二が怪我を負った事により、真理が暴力団の娘という事実が知れわたるや学園中が騒然となる。学園のアイドルが一転して仲間はずれにされるが、奥多摩キャンプで激流に巻き込まれた征二達を命をかけて救った事によって、みんなとは和解、真理の機転で朱紋組は解散し、彼女に明るい学園生活が戻った。その後、元朱紋組の幹部の息子・伊達竜次、上級の転校生・南条由実との間に様々な事件が巻き起こる。征二は、それらの事にも無償の愛の精神で応える真理の行動や言動をカガミとして、男の条件や青春の条件を追求してゆくのだ。やがて3月。征二にとって、高校進学という青春の朝に出会った天地真理という朝日の恋人との高校生活一年目は過ぎようとしていた。

●BONはこう読む!:
思い焦がれる女性に認められようとして、悩んだり見当違い等をした苦い記憶を男性は多いと思う。「朝日〜」では坂本征二という少年の視点と語りでドラマが展開される故に読み進める内にフと自身の淡い青春の記憶が蘇ってきたのだ。 本作の主人公は「天地真理」なのだろうが、私の考えでは彼女は作品のテーマを表現する為のシンボルで、真の主人公は坂本の方ではないかと思っている。それは無償の愛、慈悲の心を持った究極の女性像(梶原氏のと言った方がいいか)である彼女にひたすら憧れ、少しでも近付こうとして苦悩したり自身に問いかけながら一歩一歩成長していく1人の男のドラマに見えたからだ。

●単行本:
秋田書店刊:少年チャンピオンコミックス全4巻(※第4巻P37迄が「朝日の恋人」、以降が「太陽の恋人」)
チクマ秀版社刊:もん・りいぶる 上下巻(秋田書店版にない未掲載カットも収録)

●その他:
※TV化(実写)「太陽の恋人」(TV化にあたり、放送局の毎日放送側がライバル局の朝日(放送)の文字が入っているから、とタイトルの変更を申し入れたとの説あり)
※隔週刊だったチャンピオンの週刊誌化に伴い連載開始。作画には永井豪氏も候補にあったとか!?

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