講談社出版文化賞児童まんが部門 昭和50年度(第6回)受賞作品


「人が人を愛することはきびしいことなのだよ 早乙女くん! それは戦いでさえある! おたがい あらゆる くるしみに耐え 試練をのりこえ みがきあい 成長していくもの!」

FILE#86「愛と誠」(画:ながやす 巧)



週刊少年マガジン連載/1973.3/4号〜1976.39号迄

●あらすじ:
信州の蓼科で早乙女愛が偶然出会った不良青年・太賀誠。彼は幼い頃 愛の命を救った時、額に大きな傷を負ったばかりでなく両親や自らの人生さえも壊れてしまう。そのつぐないとして誠を東京の高校へ転入 させ、更正させようとするが、傷に込められた怒りは強く、逆に暴力で学園を支配しようと企む。しかし愛の献身的な行為により、これを阻止されると誠は関東一の不良高校・花園実業へと転校する。愛、そして彼女を愛し影ながら支える男・岩清水弘も花園へ移り物語は新たな展開を示す。学園を支配する影の大番長・高原由紀、座王権太との対決。そして第3勢力の砂土谷峻の登場!学園を舞台に誠と砂土谷の最後の対決が始まった。自分を捨てた母との悲しい再会ゆえに命を捨てて挑む誠の気迫に砂土谷は敗れた。束の間のやすらぎは長くは続かない。次は愛の父が汚職事件に巻き込まれ逮捕、母は実家に戻り、かつてない苦況に立たされる。単身事件の解決に乗り出す誠は得の喧嘩殺法で事件の首謀者達を叩きのめした。やがて検察の手で黒幕の総理が逮捕され、全てが解決されたその時、再び姿を現した砂土谷のナイフが誠を貫く。負傷した体を引きずり愛の待つ海岸へ向った誠は、最後の力をふり絞り愛を抱きしめ初めての口づけを交わす。太賀誠と早乙女愛にようやく訪れた幸福な時は、今おとずれ、そして…終わった。

●BONはこう読む!:
史実的には原作者・梶原一騎としての頂点を極めた梶原流メロドラマの傑作。主人公なのに何故だか早乙女愛にも太賀誠にも感情移入する事はなかった。(私は彼らの心情や行動は理解できても納得はできない)むしろそれに振り回される脇役達の方に感情移入してしまう。その筆頭が岩清水弘。報われぬ片想いなれど懸命に相手を支える姿には、 同じ男稼業を営む者にとって惹かれずにはいられない。この物語をご存じない方へ補足すれば、上記のセリフは彼の言葉で、漫画史に残る名セリフだ!ちなみに数年前フジテレビで放送されたドラマ「20歳の約束」は、この漫画のエッセンスが多分に含まれていた。

●単行本:
講談社刊/KCコミックス全16巻
講談社刊/(旧)講談社漫画文庫全16巻
講談社刊/KCスペシャル全13巻
講談社刊/KCデラックス全10巻
講談社刊/講談社漫画文庫全10巻

講談社刊/KPC版全8巻
講談社刊/講談社プラチナコミックス版全6巻

●その他:
第一部/1973.3/4号〜53号
第ニ部/1974.3号〜36号

第三部/1974.37号〜1975.49号 ※1975.2号休載
第四部/1975.52号〜1976.39号
TV化(実写)「純愛山河・愛と誠」
映画化「愛と誠」「続 愛と誠」「愛と誠・完結編」
ラジオドラマ化「ラジオ劇画・愛と誠」

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