「ただ おれは小さいころから夕やけ あいつが好きだ カッカと頭にきているときに夕やけ空をながめていると みょうに心がしずまってくる さみしくさえなってきやがるんだ…」

FILE#24「夕やけ番長」(画:荘司 としお)



冒険王連載/1967.9月号〜1971.3月号
(※別冊冒険王にも読みきりが掲載/詳細不明)

●あらすじ:
赤城山から祖父と共に上京し、下町の木曽中学校に転校してきた赤城忠治は人情に厚く、スポ−ツ万能、ケンカに強いが、夕やけを見るとセンチになる一面もあった。彼は持ち前の正義感で木曽中の番長連合を解散させ、そのメンバ−を鍛え上げた後で新設した各スポ−ツ部のリ−ダ−に据え、活躍させる事で彼等を厚生させるばかりか、木曽中の名を高めたのだった。その後、インテリの青木・ガ−ルフレンドの水の江・トラブルメ−カ−の小瀬らと楽しい学園生活を繰り広げていった。だが三年生に進学した頃、突然別れの日が訪れた。悪質な立ち退きにより住家を追われ一度は祖父と共に赤城山に帰ろうとするが、彼のスポ−ツの才能に目を付けた高校からのスカウトの登場で状況は好転したかに見えた。しかし小瀬の、皆と一緒に進学できない嫉妬による悪ふざけから、忠治はアキレス腱を切ってしまいスカウトの件はご破算。責任を感じ自殺しようとした小瀬を助けたあとで、忠治は祖父と共に赤城山へ帰っていった。見送りに来た友人達に、いつか理想とする文武両道をかねそなえた男になる事を誓って…。

●BONはこう読む!:
もしアキレス腱が切れてなかったら、この物語の結末はハッピーエンドだったのであろうか?否。仮に高校進学を果たしても、彼の日常はこれまで以上に社会の矛盾や大人のエゴに巻き込まれた苦しいものになるのではないだろうか?それ程に終盤の彼は傷つき疲れていたように見える。つまり遅かれ早かれ彼はこの都会を去る運命にあったのだと思うし、あの結末は起こるべくして起こった事なのだ。みなさんもぜひ1巻からじっくりと読んで、赤城忠治の怒りを、悲しみを、痛みを感じ取ってほしい。自分がいつの間にか失くした何かを思い出せるかもしれません。

●単行本:
秋田書店/サンデーコミックス全17巻
サンケイ出版/梶原一騎傑作全集全15巻
アース出版局/漫画名作館スペシャル全7巻


●その他:
別冊冒険王掲載データ:
1968.4月号「うなれ!友情の鉄腕の巻」
1968.夏季号/妖怪まんが特集号
「日本海けんか祭りの巻」(サンデーコミックス6巻収録)=NEW!=
1969.2月号「白銀の歌・鉄拳の歌の巻」
1969.夏号「女番長まかりとおるの巻」

TV化(アニメ)
1968.10.1〜1969.3.29 全26話 ※毎週月〜金曜 各10分1週間で1話完結。
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