「野球というものは いつまでたっても みずみずしい恋人だよ…常に無限の夢と可能性とを秘めている…」

FILE#33「青春球場」(画:園田 光慶)



ヤングコミック/1967.9月号〜1968.3月号

●あらすじ:
昭和42年のペナントレース終盤。首位を独走する巨人に手を焼く阪神は、ある秘密兵器投手を育てていた。その名は伊達礼次!彼の左腕から繰り出される剛速球は大リーグレベル。あまりの威力に捕手が負傷したため予選敗退したことが幸いし、マスコミの注目を浴びることなく密かに見出され阪神へと入団したのだ。満を持してデビューの対巨人戦、しかしノーコンの癖を見抜かれてあえなく2軍に落とされる。己の力を信じ、誰にも負けたことのない誇りを守るため、必死の練習を重ねて1軍へとカムバックを果たす。剛速球と巧みなコントロールでONを封じ、雪辱を遂げた時こそ伊達が猛虎の秘密兵器として開眼を果たした瞬間であった。巨人の優勝で終わったペナントのオフシーズンでも伊達に休息はない。監督の命を受けて、巨人入団が決まった黄金ルーキーと対決しプロの凄さを思い知らせた。巨人打倒という男の血潮を燃やし尽くしても足りない大きな生きがいに燃える伊達礼次。その野望を胸に膨らませ、新たなペナントレースがやがて始まろうとしていた…。

●BONはこう読む!:
「巨人の星」連載2年目の時期に、連覇を遂げる王者として巨人を讃える反面、その強さに牙をむき挑むキャラクターを育てたいという思いも梶原は抱えていたことが伺える作品。結局巨人以外のセリーグ球団を舞台にした作品を書くことはなかったが、伊達礼次というキャラクターは、その後「モーレツ!巨人」の千波竜介・「野獣の弟」の海童猛巳を経て「侍ジャイアンツ」の番場蛮として結実したのではないだろうか?

●単行本:未刊行

●その他:
※梶原一騎は監修・真樹日佐夫は構成でクレジット。
※ピックアップマガジン1968.3月号に、第1〜5話を2部構成で収録。
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