「おれは打ちたい たとえ石でも…せめて速球打ちにかけては だれにも負けなかったという ほこりだけは…ゆめだけは もちつづけなくては これからの人生を生きていけんのだ!」

FILE#28「巨人の星(黒部猛巳編)」(画:川崎 のぼる)



別冊少年マガジン読切/1967.4月号 ※資料&情報協力:梶バカさん、寿さん(感謝!)

●あらすじ:
甲子園大会で活躍する飛雄馬の姿をTV観戦する一徹は、息子の幼少の頃を思い出していた。その頃の飛雄馬は、巨人の星を目指す苛酷な日々で勝負に執着する心にゆとりのない子供になっていた。ある日の事、彼が所属する草野球チーム・ドングリーズに、土建業チーム・ベアーズが試合を申し込んできた。連敗中のベアーズは秘密兵器として元プロ野球選手・黒部猛巳を雇い飛雄馬を打ち込もうと考えたのだ。試合当日。0対0でむかえた最終回ついに黒部が代打で登場した。練習時間、マウンドから2、3メートル前で投げた球を片手で打ち込む黒部を見ていた飛雄馬は、ギブスを外して勝負に挑む。恐るべき快速球に2ストライクの黒部。結局、球筋は見えても落ちぶれて酒浸りの体では飛雄馬の敵ではなく、張ったヤマの裏をかかれ三振に終わる。飛雄馬は互いの憎しみ中で掴んだ勝利の空しさを感じていた。試合後、敗戦の悔しさから待ち伏せて仕返しを謀るベアーズに、飛雄馬の石つぶてが炸裂する。そこに現われた黒部が再度飛雄馬に挑戦した。自らのプライドを守ろうと必死の姿に、飛雄馬はわざと打たせる。様子を見ていた一徹は、飛雄馬の心の成長を喜ぶのであった。

●BONはこう読む!:
「巨人の星」の一連の読切は、本編では描かれない小・中学生時代の飛雄馬が登場する。本作で意外だったのは、優等生的イメージの飛雄馬に「ちょっと嫌なガキ」だった頃があったこと。長家の住民に悪態を付いたりする飛雄馬なんてビックリだ。(むろん、そこからの成長を描くのが本作のテーマなので、やや性格の後付けっぽい感じはするが)。ところでゲストキャラの黒部猛巳のプロフィールは凄いぞ。直球には滅法強いが変化球が打てないためにプロ野球を去った男…。ダメじゃん。そんな奴プロ選手じゃねーよ!(笑)。さすがセンセイ、その強引さ…グ−です。

●単行本:未刊行・未収録

●その他:
                    
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